この記事でわかること
- 衆議院だけが持つ「首相を辞めさせる権限」の仕組みを知る
- 不信任案が出されると首相は「解散か総辞職か」を選ばされる
- 歴史上の不信任案可決事例から日本政治の急変点を読む
概要
内閣不信任決議(ないかくふしんにんけつぎ)は、議会が内閣を信任せず退陣を要求する決議である。
成り立ち・背景
内閣は議会の信任を要することは議院内閣制の核心的原則である。
したがって、内閣制度を採用する国のうちでも議院内閣制をとる国においては特に重要な意味を持ち、政治制度としては、議会が不信任決議を行った場合には内閣は当然に総辞職する制度をとるか、もしくは内閣は総辞職か議会の解散かの二者択一とする制度のいずれかがとられる。両院制を採る国においては内閣は特に下院の信任を要するものとされ、内閣不信任決議も下院のみに与えられる権限であることが多い。
内閣不信任決議が特定の内閣を信任せず退陣を求めることを内容とする決議であるのに対して、特定の内閣に対しその職において行政権を行使することを委任することを内容とする決議として内閣信任決議がある。内閣信任決議も現在の内閣を信任すべきか否かを問題とする点で内閣不信任決議と共通し、内閣不信任決議案が可決された場合と内閣信任決議案が否決された場合は、いずれも現在の内閣が議会からの信任を得ていないという点で共通する。このようなことから便宜上、内閣信任決議についてもこの項目で扱う。
日本国憲法第69条は「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、内閣は総辞職をしなければならない」とし、衆議院の内閣不信任決議と内閣信任決議について定めている。日本国憲法下においては内閣は第一次院たる衆議院における指導的勢力を基礎として存立する。
したがって、内閣が衆議院において議員の過半数からの信任を失っている場合にはその存立を維持することができないこととなり、日本国憲法第56条第2項の規定により衆議院で出席議員の過半数で内閣不信任決議案が可決または内閣信任決議案が否決されたときは、10日以内に衆議院が解散されない限り内閣は総辞職をしなければならないことになる(日本国憲法第69条)。
関連項目
Politype的視点
可決されれば首相は「解散か総辞職か」を迫られる。だから与党が多数を持つ限り成立しない──この構造ゆえに不信任案は「本当に危機的な時しか機能しない」。1993年の宮澤内閣不信任可決が55年体制崩壊のきっかけになった経緯は、この制度の持つ爆発力を示している。