概要
社会主義・共産主義・社会民主主義・民主社会主義は、しばしば混同される政治思想の系譜。それぞれ「資本主義の何を問題とし、どう変えるか」の方法論が異なる。日本では日本社会党・日本共産党・立憲民主党などがこの系譜に位置づけられることが多い。
各思想の比較
| 思想 | 目標 | 方法 | 日本の政党例 |
|---|---|---|---|
| 共産主義 | 生産手段の共有・階級廃絶 | 革命(マルクス主義) | 日本共産党 |
| 社会主義 | 生産手段の社会化 | 段階的・多様 | (旧)日本社会党左派 |
| 社会民主主義 | 資本主義内での格差是正 | 議会・福祉国家 | (旧)日本社会党右派・立憲民主党 |
| 民主社会主義 | 社会主義を民主的手続きで実現 | 選挙・議会 | 日本社会党(一時期) |
社会主義
社会主義(しゃかいしゅぎ、英語: Socialism〈ソーシャリズム〉)は、資本主義・市場経済の弊害に反対し、より平等で公正な社会を目指す思想・運動・体制を指す用語である。
社会主義の定義は広く、資本主義や議会制民主主義の範囲内を想定した社会民主主義、民主社会主義から、サンディカリズム、国家的権威の廃止を目指すアナキズム、労働シオニズム、右翼社会主義、アラブ社会主義、イスラム社会主義、キリスト教社会主義、国民社会主義、階級闘争と生産手段の公共化を目指す共産主義などがある。
社会主義と共産主義は、ほぼ同義の意味として扱われることもある。
「社会」の語源はラテン語の「socius」(友人、同盟国などの意味)である。
「社会主義」の語の最初の使用は諸説あるが、「自由、平等、友愛」の語を普及させたピエール・ルルーが1832年に「personnalite」(これはフランス語で、個人化、個別化、パーソナライズなどの意味)の対比語として記した「socialisme」(これはフランス語で、直訳では「社会化する主義」、社会主義)が最初とも言われており、ルルーは1834年には「個人主義と社会主義」と題した文書を発行した。
他には1827年のアンリ・ド・サン=シモンなどの説があるが、いずれもフランス革命の流れの中で発生した。
「社会主義」の語は、後の近代的な意味では色々な主張により使用された。
一般的には、共産主義は数多くの社会主義の潮流の一つであると解釈される(詳しくは後述の#潮流を参照)。
社会民主主義
社会民主主義(しゃかいみんしゅしゅぎ、英語: Social democracy、ドイツ語: Sozialdemokratie、フランス語: Social-démocratie、略称: SocDem)は、従来の社会主義実現に必要とされた暴力革命とプロレタリア独裁(共産主義)を否認し、議会制民主主義を通じて漸進的に社会変革・構造改革・社会変動・社会改革を実現しようとする思想と運動の総称。資本主義経済のもたらす格差や貧困などを解消するために唱えられた混合経済の側面を持つケインズ経済学的資本主義思想。
社会民主主義とは、階級闘争を志向する正統派マルクス主義のような暴力革命とプロレタリア独裁の社会主義、つまり共産主義を否定し、議会制民主主義の方法に依って議会を通して平和的・漸進的に社会主義を実現することで社会変革や労働者の利益を図る改良主義的な立場・思想・運動である。ウラジーミル・レーニンによって主張された革命・階級闘争を志向する社会主義は共産主義として唱えられ異なる思想となった。イギリスでは1884年に議会政治によって漸進的に社会改革を積み重ねることで社会主義を実現しようとするフェビアン協会が創立され、1906年創立されたイギリス労働党の基本綱領となった。社会民主主義を目標に掲げながらも既存の国家を前提として民主主義の原理の社会的・経済的領域への拡大を主張し、史的唯物論や階級国家論、階級闘争説を否認する社会民主主義を唱えた。これは第二次世界大戦後、「民主社会主義」として定式化された。
民主社会主義
民主社会主義(みんしゅしゃかいしゅぎ、英: democratic socialism)とは、民主主義を通じて社会主義を実現・到達しようとする政治思想。社会主義の中で共産主義、権威主義的・非民主的な社会主義へ強く反対する社会主義の一種。「社会主義は民主主義によってのみ実現され、そして民主主義も社会主義によってのみ達成される」という思想。国際組織である社会主義インターナショナルの指導精神である。
なお、アメリカのバーニー・サンダースも民主社会主義者を自称しているが、このような場合は「民主社会主義」が「社会民主主義の左派」を指す。
共産主義
共産主義(きょうさんしゅぎ、英: Communism、独: Kommunismus、露: Коммунизм、コミュニズム)とは、財産(生産手段)を私有ではなく共同体による所有(社会的所有)とすることで貧富の差をなくすことをめざす思想・運動・体制。
広義には資産共有の思想であるキリスト教共産主義なども含む。
19世紀に「共産主義」の主要な潮流となったカール・マルクスやフリードリヒ・エンゲルスらは、資本主義による社会の私有化に対して、土地や工場などの主要な生産手段の社会的所有を主張した(マルクス主義)が、彼らは「共産主義」と「社会主義」をほぼ同義として用いた。
共産主義(英語: communism、コミュニズム)の用語は「フランス語: communisme」より派生し、その語源は「コミュニティ(共同体)の」または「コミュニティのための」を意味する「ラテン語: communis」と、「状態、運動、思想」への抽象化を示す接尾語の「ism」により造られた。このため直訳では「コミュニティの(コミュニティのための)状態」を意味する。この用語は色々な社会的状況を指すために使用されたが、現代では経済的政治的な組織や体制に関連して使用されるようになり、特にマルクス主義と関連付けて使用されるようになった。著名な例には1848年の『共産党宣言』がある。
日本における系譜
- 戦前:社会主義運動が弾圧される(治安維持法)
- 戦後:日本社会党(右派=社会民主主義、左派=社会主義)が主要野党に
- 1955年:社会党統一→共産党と並ぶ革新勢力の核へ(55年体制)
- 1994年:社会党が自民党と連立→路線転換で支持者離れ
- 2000年代〜:社会民主党(社民党)として縮小継続
- 現在:立憲民主党が「緩やかな社会民主主義」の立場を継承
関連項目
Politype的視点
「社会主義」と聞いて北朝鮮・ソ連を思い浮かべるか、北欧福祉国家を思い浮かべるかで、政治の見え方が全く変わる。この系譜図を頭に入れると、野党の違いが「程度の差」ではなく「思想の差」として読めるようになる。