概要
政治における「左派・右派」とは、フランス革命期の議会で急進派が左側、保守派が右側に座ったことに由来する区分。現代では経済的平等・社会変革を重視する側を「左派(左翼)」、伝統・秩序・市場を重視する側を「右派(右翼)」と呼ぶことが多い。日本では55年体制以降、自民党=保守・右派、社会党=革新・左派という対立構図が長く続いたが、冷戦終結後は「左右」の意味自体が複雑化している。
左派(左翼)の起源と定義
左翼、左派(さよく、さは/英語: left-wing, the Left)は、旧秩序の改革を目指す政治的スタンス。語源となった18世紀末のフランス議会に於いては、革命派、改革派のこと。リベラルや、社会主義のほか、共産主義、無政府主義などの様々な傾向がある。対義語は「右翼」(右派)である。左派の中でも穏健派な立場の者は「中道左派」、逆に急進的立場の者は「極左(急進左派)」と呼ばれる。
「左翼」「右翼」の語源はフランス革命である。「左翼」という表現は、フランス革命期の「(憲法制定)国民議会」(1789年7月9日 - 1791年9月30日)における1789年9月11日の会議において、「国王の法律拒否権」「一院制・二院制」の是非を巡り、議長席から見て議場右側に「国王拒否権あり・二院制(貴族院あり)」を主張する保守・穏健派が、左側に「国王拒否権なし・一院制(貴族院なし)」を主張する共和・革新派が陣取ったことに端を発し、続く「立法議会」(1791年10月1日 - 1792年9月5日)においても、右側に立憲君主派であるフイヤン派が陣取ったのに対して、左側に共和派や世俗主義などの急進派(ジャコバン派)が陣取ったことに由来する。続く「国民公会」では、穏健共和派であるジロンド派に対して、急進派である山岳派が左翼を形成した。
「左翼」は相対的な用語であり、何を「左翼」や「右翼」と呼ぶかは時代・国・視点などによって変化する。経済的自由主義や資本主義はフランス革命当初は「左翼」だが、社会主義勢力の拡大後は「右翼」と呼ばれる場合が多い。また「左翼」や「右翼」という用語はレッテル貼りに使われる場合も多い。
ネットで活動する左翼や左翼活動家に対しては「ネトサヨ」や「パヨク」という揶揄表現が使われる事もある。
右派(右翼)の起源と定義
右翼、右派(うよく、うは/英:right-wing, rightist, the Right)とは、現状維持や漸進的な改革を志向する政治的スタンス。語源となった18世紀末のフランス議会に於いては、保守派のこと。保守主義・反動主義・排外主義的な思想や運動、または急進・共産主義に対して漸進・反共産主義勢力や人物を含む。左翼の対立概念である。右翼の中でも過激派なものを極右(急進右派)、穏健なものを中道右派という。
右翼と左翼の語源はフランス革命に由来する。フランス革命期の憲法制定国民議会において、旧秩序の維持を支持する勢力(王党派、貴族派、国教派など)が議長席から見て右側の席を占め、左側に旧勢力の排除を主張する共和派・急進派が陣取ったことが語源となった。続く立法議会においても、右側に立憲君主派であるフイヤン派が陣取り、左側に共和派や世俗主義などの急進派(ジャコバン派)が陣取った。「右翼」という語は、超王党派による1815年のフランス王政復活の後、よく使われるようになった。
「右翼」は社会主義と対立する保守主義・反動主義を日本では指した。
また、国や時代、立場などによって、右翼・左翼の位置付けは異なり、多種多様な主義主張が存在するため、一概に「右翼」「左翼」と表現することは難しい。
マイペディア(平凡社)では「一般にはドイツのナチズム、イタリアのファシズム、日本の超国家主義者などがその代表」と言う。
T.A.Smith, R.Tatalovichによれば、社会学の説明としては、左翼が大きな平等や政治参加を求める社会運動であるのに対して、右翼は「秩序・体制・身分・名誉・伝統的な社会格差や価値観の構造を維持することを目指す社会運動」を指すとされ、保守、愛国心、国粋主義、排外主義的な思想を含むとされる。類義語には「保守」や「守旧」など、対義語には「左翼」や「革新」などがある。
日本における左右の文脈
戦後日本では、憲法9条(護憲)・反安保・反原発を主張する勢力が「革新・左派」、改憲・日米同盟強化・成長重視を主張する勢力が「保守・右派」と呼ばれる傾向があった。しかし2000年代以降、「左右」の軸が経済政策(再分配vs成長)・文化的価値観(多様性vs伝統)など複数の次元に分化し、単純な左右二分では語れなくなっている。
現代の複雑化
- 経済的左派+文化的保守(国民民主党・れいわ新選組の一部)
- 経済的右派+文化的リベラル(維新の会)
- 伝統的保守(自民党の一部)vs 新保守(参政党・日本保守党)
など、「左右」だけでは捉えきれない政治的座標軸が登場している。
関連項目
Politype的視点
「左派か右派か」と問う前に、「何について左右なのか」を問うと政治がずっと立体的に見えてくる。経済・外交・文化・環境それぞれで「左右」は違う。